養育費が払われなくなったら

養育費の未払いは非常に多く、厚生労働省の調査によると**養育費を受け取れている母子世帯は約28%**にとどまります。支払いが止まった場合、あきらめずに法的手段を取ることが大切です。

強制執行とは

強制執行とは、裁判所の力を借りて相手の財産を差し押さえ、養育費を回収する手続きです。主に以下の財産が対象になります。

  • 給与(最も一般的)
  • 預貯金
  • 不動産
  • 生命保険の解約返戻金

給与差し押さえの特徴

養育費の場合、通常の債権よりも差し押さえ範囲が広く、給与の手取り額の2分の1まで差し押さえが可能です(通常の債権は4分の1まで)。

さらに、将来の養育費についても一括で差し押さえできるため、毎月の支払いを勤務先から直接受け取れるようになります。

強制執行の条件

強制執行を行うには債務名義が必要です。

債務名義の種類強制執行の可否
公正証書(強制執行認諾文言付き)可能
調停調書可能
審判書可能
判決書可能
私的な合意書(離婚協議書)不可(訴訟が必要)

重要: 離婚時に養育費を口約束や私的な書面だけで決めた場合、すぐに強制執行はできません。まず調停や訴訟で債務名義を取得する必要があります。

強制執行の手続きの流れ

1. 債務名義の確認

公正証書・調停調書・判決書などの債務名義を手元に用意します。

2. 送達証明書の取得

債務名義が相手に送達されたことの証明書を取得します(裁判所または公証役場に申請)。

3. 執行文の付与

公正証書の場合は公証役場で、調停調書の場合は裁判所で執行文を付与してもらいます。

4. 相手の勤務先・口座の特定

差し押さえには相手の勤務先や銀行口座の情報が必要です。わからない場合は裁判所の「第三者からの情報取得手続」を利用できます(2020年の民事執行法改正で新設)。

5. 差押命令の申立て

相手の住所地を管轄する地方裁判所に差押命令を申し立てます。

費用

費用項目金額
収入印紙4,000円
予納郵便切手3,000〜5,000円
弁護士費用(依頼する場合)10万〜20万円

強制執行以外の回収方法

履行勧告

家庭裁判所から相手に対して「支払いなさい」と勧告してもらう制度です。費用は無料ですが、強制力はありません

履行命令

正当な理由なく履行命令に従わない場合、10万円以下の過料が科されます。ただし、過料を払っても養育費を払わない人もいます。

まとめ

養育費の未払いは泣き寝入りせず、法的手段を活用しましょう。特に離婚時に公正証書を作成しておくことが、将来の強制執行をスムーズにする最善の予防策です。