なぜ公正証書が必要なのか

養育費の取り決めを口約束や私的な書面だけで済ませると、未払い時に強制執行ができません。公正証書を作成しておけば、裁判を経ずに相手の給与や預貯金を差し押さえることが可能です。

公正証書のメリット

  • 強制執行が可能(強制執行認諾文言付きの場合)
  • 改ざんの心配がない(原本は公証役場に保管される)
  • 高い証拠力(裁判でも強い証拠になる)
  • 紛失しても再発行できる

公正証書に記載すべき項目

養育費に関する事項

  • 金額 — 月額〇万円(子ども1人あたりの金額を明記)
  • 支払い期間 — 「令和〇年〇月から子が満20歳に達する日の属する月まで」など
  • 支払い日 — 「毎月末日までに翌月分を支払う」など
  • 支払い方法 — 銀行振込(口座情報を記載)
  • 振込手数料 — どちらが負担するか

特別費用の条項

  • 入学金・受験費用などの特別費用の分担方法
  • 「協議の上、折半する」などの取り決め

金額変更の条項

  • 子どもが15歳になったら金額を見直す
  • 物価の著しい変動があった場合の協議条項

強制執行認諾文言

「義務者が本証書に記載の金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する」旨の文言。この文言がないと強制執行ができないため、必ず入れましょう。

公正証書の作成手順

1. 夫婦間で条件を合意する

公正証書を作成するには双方の合意が必要です。合意内容をメモにまとめておきましょう。

2. 公証役場に予約・相談

最寄りの公証役場に電話で予約し、合意内容を伝えます。公証人が文案を作成してくれます。

3. 必要書類の準備

書類備考
本人確認書類運転免許証、マイナンバーカードなど
戸籍謄本発行から3か月以内のもの
印鑑証明書発行から3か月以内のもの
実印印鑑証明と同じもの
合意内容のメモ金額・期間・支払方法など

4. 公証役場で作成

夫婦双方が公証役場に出向き、公証人の前で内容を確認・署名します。代理人による作成も可能です(委任状が必要)。

作成費用

公正証書の作成費用は、合意した金額(目的の価額)に応じて決まります。

目的の価額手数料
100万円以下5,000円
200万円以下7,000円
500万円以下11,000円
1,000万円以下17,000円
3,000万円以下23,000円

養育費の場合は「月額 × 支払い期間(最大10年分)」で計算されます。

まとめ

養育費の公正証書は、未払い防止の最も効果的な手段です。離婚時の手間と費用を惜しまず、必ず作成しておきましょう。