保護命令とは

保護命令とは、DV被害者の申立てにより、裁判所が加害者に対して被害者への接近等を禁止する命令です。DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)に基づく制度です。

保護命令の種類

種類内容期間
接近禁止命令被害者の身辺に近づくことを禁止6か月
退去命令住居から退去し、住居付近を徘徊することを禁止2か月
電話等禁止命令電話、メール、SNS等での連絡を禁止6か月
子への接近禁止命令被害者と同居する子への接近を禁止6か月
親族等への接近禁止命令被害者の親族等への接近を禁止6か月

保護命令の申立て条件

対象となる暴力

  • 身体的暴力(殴る、蹴る、物を投げるなど)
  • 生命等に対する脅迫(「殺す」「刺す」など)

注意: 2024年の法改正により、精神的暴力(モラハラ)や性的暴力も保護命令の対象に拡大されました。ただし、自治体や裁判所によって運用が異なる場合があります。

その他の条件

  • 配偶者(事実婚含む)または元配偶者からの暴力であること
  • さらなる暴力により生命・身体に重大な危害を受けるおそれがあること
  • 事前に配偶者暴力相談支援センターまたは警察に相談していること

申立ての手続き

ステップ1:事前相談

保護命令の申立てには、事前に相談機関に相談した記録が原則必要です。

  • 配偶者暴力相談支援センター
  • 警察の生活安全課

相談していない場合は、申立書に公証人の認証を受けた供述書を添付する必要があります。

ステップ2:申立書の作成

被害者の住所地、居所地、または加害者の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てます。

申立書に記載する内容

  • 申立人(被害者)の情報
  • 相手方(加害者)の情報
  • 暴力の具体的な内容
  • 保護命令が必要な理由
  • 事前相談の記録

ステップ3:必要書類の提出

書類備考
申立書裁判所の書式あり
戸籍謄本婚姻関係の証明
住民票
診断書暴力による負傷がある場合
証拠資料写真、録音、日記など
相談記録の証明書相談機関から取得

費用

  • 収入印紙:1,000円
  • 予納郵便切手:約2,500円

ステップ4:審尋(審理)

申立て後、裁判官が双方から事情を聞きます(審尋)。被害者と加害者は別々の日時に呼ばれるため、直接対面する必要はありません。

ステップ5:命令の発令

審尋の結果、保護命令が認められれば命令が発令されます。申立てから発令まで通常1〜2週間程度です。緊急の場合はさらに短縮されることもあります。

保護命令に違反した場合

保護命令に違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。違反を発見したら、すぐに警察(110番)に通報してください。

保護命令の延長

保護命令の期間が終了しても危険が続く場合、再度の申立てが可能です。期間内に新たな暴力や脅迫があった場合は、期間満了前でも再度申し立てることができます。

まとめ

保護命令は、DV被害者の安全を法的に守る重要な制度です。暴力を受けている方、脅迫されている方は、ためらわずに申立てを検討してください